私の家は赤坂グループという会社の代表取締役を代々している家系だった。

他と違うのは女性が代表取締役をすると言うこと。


化粧品メーカーや女性用の服、赤ちゃん用品を多く扱うお店の大元である赤坂グループ。

女性というイメージに結びつくため印象第一の取締役は女性が務めることになっているのだ。


私のおばあちゃんも代表取締役だった。
 
あまり記憶にはないけれど優しくて穏やかな人だった。

けれど元々、体が弱く子供を産めたのは一度きりだった。


その子供というのが私の父。


うちは血筋を重んじているためか、家系に男の子しか居なくなってしまった場合は養子はとらずに嫁をめとってその人が代表取締役に就任する。


その人が私の母。

母は有名財閥の次女で父とは政略結婚だった。

父は好きな人がいたみたいだけど、この世界にいてそんな恋が実るはずもなく母と結婚した。

けして仲が良かったとは言えないけどそれなりにやっていたと思う。  

私も大人になったら母の跡を継ぎたいと思っていた。

けれど、私が9歳になったばかりのある日、母にがんが見つかった。

仕事に必死だった母は大丈夫、大丈夫と言って中々病院に行かずついに倒れてしまって、病院に搬送された時だった。


見つかった時にはもう遅くて1年ともたずこの世を去った。


最後まで力強くて優しい母だった。