「今日は正式な跡継ぎの話をする」
いよいよ決まるんだ。
母が支えてきた会社、わたしもその後を継ぎたい。
「正式な後継は絆奈だ。」
言われたその瞬間、頭が真っ白になって、胸の動悸が止まらなかった。
「絆也は絆奈を支えてくれ」
「はい。」
何か言っているようだけどほとんど聞こえなくて…なんだかとっても苦しかった。
「父さん、正式な跡継ぎが決まったことだし話したいことがあるんだ。実は…輝琉と結婚させて欲しい」
絆也のその一言にわたしは現実に引き戻される。
えっ輝琉?
「おっそれは本当か!」
「鈴木財閥の令嬢で聖星学園に通っている。
申し分ないと思うんだけど…」
鈴木とは友達の輝琉の苗字
えっ
頭の中が真っ白になってしまった
えっ?輝琉?ってあの輝琉
そんな話、してなかったのに…
ってか絆也と輝琉って交流があったの?
「おーいいじゃないか。よし、認めてやろう」
父は絆奈と絆也にはとことん甘いからこんな口調になっている。
聞いているだけまた少し苦しかった。


