里香の涙は止まらない。


あたしまでもらい泣きしてしまいそうになり、グッと涙をこらえた。


前回はほとんど大人たちで埋まっていた葬儀場が、今は真央ちゃんと同い年くらいの生徒たちであふれている。


その中に紛れ込むようにして江藤君の姿を見つけた。


江藤君は同級生たちに肩を抱かれて泣きじゃくっているのだ。


それを見てあたしは驚いてしまった。


前回の葬儀では江藤君はあそこまで泣いてはいなかった。


きっとあれも我慢していたのだろう。


周りは大人ばかりだし、妹への気持ちも押し殺していたし、本当の自分をさらけ出す場所がなかったのかもしれない。


それからあたしたちはお焼香を済ませて、バスへと戻ってきていた。


バスの外では江藤君と家族の人たちがお礼に頭を下げている。


親族の人たちはこれから火葬場へ向かう予定だ。


「江藤君大丈夫かな……」


明日は2月8日。


江藤君が死ぬ日。


あたしは頭を下げている江藤君を見て、胸にチクリとした痛みを感じたのだった。