「江藤君、ずっと音楽聴いてるもんねぇ」


里香は頬杖をついて答える。


「そうなんだよね」


「よし、話かけられないなら尾行しよう!」


妙案がひらめいたとでもいう様子でポンッと手を叩く里香。


あたしは呆れて亜美を見つめた。


「尾行なんてそんなことできるわけないじゃん」


「なんで?」


「なんでって……」


そう聞かれると返事ができない。


うまくいきっこないと思う反面、うまくいけばループの原因がつかめると思っている自分がいる。


う~んと返事に悩んでいると里香が勢いよく立ち上がった。


「膳は急げ! 行くよ!」


「ちょっと、待ってよ!」


元気よく教室を出て行く里香に、あたしは慌ててついて行ったのだった。