毒舌王子は偽りのお人形の心を甘く溶かす



「彼氏、人気だね〜」


体操座りをして大人しく女子コートを観戦していると、昨日に引き続き、にやにやと乙女にふさわしくない顔をした古川さんが話しかけてきた。


一応先生の目を気にしているらしく、こそこそと口に手を当て、小声である。


彼女がそのような行動をとるのが意外で、表情にこそ出さないものの、驚いた。


……いつも大声で恋バナをしてるから、実は空気読めなさそうって思ってました。ごめんなさい。


「人気なのは前からだもん……かっこいいから仕方ないよね。私は気にしてないから、大丈夫!」


あはは、と穏やかに笑いながら両手をグーにして元気!のポーズをとる。
本当に、一ミリも気にしていないからそんなに心配そうな顔でこっちを見ないで欲しい。

古川さん、さてはいい人だな。


あぁ、そうだ。今度からはあだ名で呼ぶことにしよう。
あえて距離をとるために苗字で呼んでいたが、彼女がこれだけ良くしてくれていて、仲良くなりたがっているというのに。


遠ざけたままなのはさすがに良心が痛む。
それに、苗字で呼ぶ度に泣きつかれるのもそろそろ面倒だ。


「あ、次、私たちの出番みたいだよ。行こう、"なっちゃん"」

「かれんちゃん……!!」


……どっちにしろ泣いて飛びついてくるんじゃないか。