「ちょ、そんなに笑うことじゃなくない?……って、え?」
なんで笑っているのか分からない、と困惑していた慎くんだが、私の表情を目にすると、その切れ長の目を少しばかり見開いて驚きの表情を浮かべた。
そして、
「……そんな笑い方もするんだ。可愛い」
と、新しい私を見つけたことに嬉しそうに笑い、慈しむような目でこちらを見つめる。
目は口ほどに物を言うとはよく言ったもので、その目に慎くんの今感じている気持ちの全てが表されていて、目が合うとドキッと心臓が跳ねた。
告白され慣れてはいるけども、告白してきた人とこうも長く接してきたことは無いため、恋情に向き合うことには不慣れなのだ。
こんな、だだ漏れの好意を向けられるなんて、どうしたらいいのかわからない。
だから私は……
「えへへ、ありがとう〜。よし、トンカツを目指して、今度こそしゅっぱーつ!」
仮面をしっかりと被り直す。
ボロが出てはいけない。しっかりと引き締めて生きていかないと。
気候のせいだけではないであろう、この暑さから逃れるべく──教室にいたときからずっと繋がれていた手をぐいっと引っ張って──ご飯屋さんへと向かったのだった。



