毒舌王子は偽りのお人形の心を甘く溶かす



「やった!じゃあゲームセンターへレッツゴー!外は暑いし、ちょっと急いで行こ!」


これまた意図的に……今度は無邪気に喜ぶ子供のように大袈裟に反応してみる。


後半部分は本音だ。


夏の真昼間。太陽が真上にあり建物の影がほぼないに等しい。


……って、ん?真昼間?太陽が真上?


「あ、ゲームセンターに行く前に……」


───ぐうぅぅ。


まだお昼ご飯を食べていないことに気づいたその瞬間、夏の風物詩とも言える蝉達の大合唱を上回る声量で、右隣からお腹の虫が鳴く声が聞こえた。


これまた照れているのか、私の目から微妙に視線を逸らして照れ笑いを浮かべている。


他の女子が見たら叫びながら連写してそうだな。


「……ごめん。その前にご飯を食べたい」

「あはは、そうしよう!」


慎くんの妥当である提案に頷く。


慎くんのお腹の音を聞いたら、私もお腹が空いてきた気がする。


なんでもいいから胃に何かを入れたくなるくらいに空腹だ。


人間、思考を巡らせている時は空腹を忘れるものである。


「慎くんは食べたいものある?私は特にないんだけどね!」

「トンカツ食べたい」

「ふっ、ははっ!」


考える余地もなく即答された答えに思わず声を出して笑う。


トンカツって……!
このめちゃくちゃ暑くて夏バテする人も多い中で揚げ物!しかもトンカツって……!


最初に会った時に自己紹介でトンカツが好きとは言っていたけれども……けれども!!


ぶれないところというか欲のままにというか……うん、面白い。
私的に超ツボ。


つい、いつもの整えた笑顔ではなく素で笑ってしまっていた。