毒舌王子は偽りのお人形の心を甘く溶かす



そもそも甘いものはそこまで好きじゃない。


生クリームましましの飲み物や砂糖たっぷりのお菓子は三口までは美味しいと感じるが、そのあとはどうしても飽きてしまう。


そういうものは、よほど疲れていて甘いものを欲している時にしか口にしない。


だが、"可愛いかれんちゃん"は慎くんの言った通り、カフェやタピオカ店を選ぶだろう……。


私の思惑はさておき、先に提案すべきはそちらの方だった。


失敗した……。


いや、でも、失敗で終わらせる私ではない。


「えっとね、今日は私よりも慎くんに楽しんでもらいたくて!噂で甘い物苦手って聞いたし、前、ご飯のときに部活帰りにたまにゲームセンターに寄るって言ってたよね?」

「そんな前の話を覚えてくれてたの?」

「もちろん、覚えてるよ!妹ちゃんの誕生日にアイスケーキを買って帰ったとか猫ちゃんに高級ご飯あげたら一瞬でなくなっておねだりされた顔が可愛かったとか!」


記憶力には自信がある。


私が学校で話す人といえばクラスの女子か慎くんで。クラスの女子は恋バナ一択で毎日同じような内容を延々と話し続ける。


よく飽きずにやっていられるなとある意味感心しながら聞いているのだが、それに反して慎くんは家の事や部活のこと、授業中のことを楽しそうに話す。


私の記憶力が良いことを除いても記憶に残るのは必然的だ。