「へぇ、結城さんってそんな反応もするんだ」
……また私の素顔を見られた。
いや、未熟な私が悪いことはわかっている。わかっているとも。
それでも、この男はどうしてこうもタイミングがいいのか。無性に腹立たしい。
「おや、晴くんとかれんちゃんは仲がいいんですね。相席にしちゃいますか?」
「嫌です〜」
「相席でお願いします」
「嫌だなぁ」
「よろしくお願いします」
「嫌」
「お願いしますね」
「…………」
「そろそろ混んできそうですね。相席で」
「了解しました」
私が強く拒否するも、それをさらに強い圧力で却下する。
もっともらしい理由をつけるところがこれまた憎い。
マスターへ八つ当たりの視線を投げたけれど、ぺこりと一礼するその姿に動じた様子は全くなくて。
……まさかこの二人、グルなのでは?
水上くんがしぶしぶと対面に座った私へと涼し気な笑みを向けるから、なおのこと疑惑が深まる。
だとしたら余計に気に食わない。
私は彼らの策略にハマったりなんかしない。
それなら、ここは彼のことは空気同然だと思うことにしよう。
空気に話しかける人はいないし、わざわざ空気を空気だと意識している人はいないだろう。
つまり、そういうことだ。
方針を決め、このお店へ来たときは必ず頼むことにしているレモンティーを頼み、メニューを元の位置へ戻したそのとき。
「───僕のこと、避けてたよね?」
微笑みを崩さない王子様が、容赦なく核心をついた。



