「はぁー…。」


「お嬢様、これで10回目くらいですよ。」


溜息をつくの…そう言ってミラー越しに私を見る運転手さん。


「すみません…。」


今は、一生縁がないと思っていた、あのとてつも無く長い車に乗っている。

革張りのシートに、木目調のテーブルまで設置された、車の中とは思えない空間に、私はいた。



なんでこんな車に乗っているかって?


そんなの私が聞きたいわ…!


私の隣にはデッカいトランクケース。

これまた革張りのアンティークっぽい代物だ。


この中には、洋服、靴、下着など、私の生活に必要なものが全て納められている。


…そして私の手には一通の手紙。