「…って感じでさー!
もーお死ぬかと思ったよ!」

「あら…それもしかして借金取り?」


さっきのお兄さんたちのことを説明しながら、電灯で照らされた道を歩く。

隣にはパート帰りのお母さん。


見た目はどこにでもいそうな主婦って感じなのに、喋り方だけはどこか品のある、おっとりした世間知らずのお嬢様みたいなお母さん。

昔から不思議だったんだけど、何故か話し方と仕草だけはタダ者じゃなさそうなんだよね。



「多分…
あの感じは借金取りだよ。ドラマみたいな!」


「パパかしら…。」

どうしましょう、って感じの表情で、顎に手を当てるお母さん。

やっぱり何処かのご令嬢みたい…。