二次元に恋するアラサー女子、ついに夢主になるっ!これは夢ですか、現実ですか?!

少しばかり打ち解けると、ナコは自分の気持ちを主張する。

「私がアズールに協力することは構わないんだけどさ、私にも何かご褒美がほしいんだけど」

そんなことを言い出すので、薄れていた警戒心が呼び戻される。やはり何か企みがあるのではないだろうか。

「褒美?何がほしい?」

返答しだいではやはり殺すことも視野に入れておかねばと構えたのに、ナコは気の抜けた返事をした。

「そうだなぁ、どうしようかなぁ?」

うんうんと頭を悩ませながら、俺をチラチラと伺い見てくる。そしてまた頬をほんのり染めながら、いじらしく首を傾げた。

「頭ナデナデか、ぎゅってハグしてもらうか。どっちがいいかな」

…………いや、もうお前は何なんだ。
何を求めているんだ。

「重要なことでしょう、推しに頭ナデナデとかキュン死レベルよ!」

「言っている意味がわからないのだが、それでやる気になってくれるならいくらでもしてやる」

だいたい、“おし”とか“きゅんし”とか、ナコの口から出てくる言葉が理解できない。
だけど俺は彼女の頭に手を置いた。ゆっくりと撫でてみる。さらさらとした髪の毛が気持ちよかった。

ていうか、これはほんの出来心だ。

「ひえええ!」

ナコは変な悲鳴を上げ、真っ赤になって両頬を押さえた。自分で望んでおきながらこんなに照れるなんて、逆にこちらが照れてしまう。

「尊いです!」

これが尊いとはどんな意味で受けとればいいのだろう?もう完全に俺の負けだ。

「変なやつ」

笑ったら、ナコもくしゃっと笑った。
シャルロットとは違う、“ナコ”がそこに存在していた。