しばらく懐かしさと心地よさを覚えながら、パラパラとページを捲る。頭の中で当時のことを思い出して、ふと笑みを浮かべたこともあった。

もう一冊の方も手に取って、パラパラと捲ってみる。

中学一年生から現在までの写真があった。月日なんてあっという間だなと入学した頃になつかしさが胸にこみ上げ、その姿形のすべてが心の中にある思い出の像と焦点を合わせながら、ページを捲る。

二冊目を読み終わったところでふと思う。

どうして小五から前のアルバムがないのだろう。

母が捨ててしまったのだろうか。はたまた私が捨ててしまったのだろうか。いや、そんなことがあるわけない。

アルバムは昔の何気ない日々を唯一、見返すことができるものだ。新たな発見をすることもある。そんな大切なものを捨てるわけがない。

それならばどこへいって、しまったのだろうか。

私は母に聞きに行こうと、一階へ降りて、リビングに入った。

母は椅子に座り、緑茶で一服をしていた。

「母さん。聞いてもいい?」

「なんか、悩み事?」

母は穏やかな口調でそう言う。

「さっきね、アルバムを見てたんだ」