ここからだと学校までは七分ぐらいなのでギリギリ間に合うぐらいだろう。

私は交差点の前でふと足を止める。運の悪いことに信号が赤から青に変わったばかりだった。

私は信号が変わるまでの間、俯いて切らしていた息を整える。

そうしていると、バタバタと誰かが走っているような足音が聞こえた。

誰だろうと顔を上げると、焦っているような顔でセミロングの髪をなびかせながら走っている美華吏だった。

その姿を見ながら通学路、こっちだったんだなんてことを考える。

美華吏は私の前まできて足を止めた。そのまま息を切らしながら俯きながらこう言った。

「お前も遅刻か?」

「うん。宇高君も?」

私は美華吏の名字を呼ぶ。名前を呼ぶのは初めてということもあるし、そもそも幼なじみ二人以外とは話すことがないからだ。

まだ初対面ということもあるし、一週間前には不思議な言葉を言われたものだからこの状況はきまずく感じる。

「ああ。ちょいと夜更かししちまったからな」

その声を聞いて私と同じだなと思う。

しばらくして信号が変わった。まだほんの少しだけ息切れしているが、ゆっくりしているわけにはいかない。

「行こう。信号変わったから」

「おう」

私達はまた走り出す。学校に向かって一直線、目的地まではもうすぐだ。