「懐かしいわね。ひょっとしてこの前の記憶の話を聞いて見たくなったのかしら?」

母はそう言って優しい笑みを浮かべた。

正確には美華吏が言った"あの場所"を探るためにアルバムを見ていた。

でも母が美華吏のことを知ってるわけないよね。血の繋がった家族でもない、ただのクラスメイトなんだもの。

「うん。そのことなんだけどね、小四の時の写真もその前の写真もなかったんだ。なんか知らない?」

「残念ながらね、父さんが私と離婚してこの家を出ていく時に、持っていてしまったのよ。本当、最悪よね」

母はため息をついてから言った。

まさか浮気していた、父が持っているとは予想外だ。でも幼い頃、父とはよく遊んだことを覚えている。旅行にも連れていってくれたっけ。

「どうして?」

「わかんない。いつの間にか無くなってたから。気づいたときにはもう、完全に父がでで行ったあとだったから」

母はまたため息をつく。

そんな……。

私はアルバムを見て"あの場所"の正体を自分で見つけ出したかったのに。

これじゃたどり着けない。でも他のきっかけといえば、

私がそうやって頭を抱えていると、

「そうだ。清加、ちょっと頼まれてくれない?」