「私…もしかしたら…修斗くんのことが好きだったのかもしれない…」

そう言うと、修斗くんは少し黙った。

「…俺さ、あのときからずっと我慢してたんだけど」

私は首を傾げる。

「何を?」

「もしかして、気づいてなかった?俺の朝倉さんへの気持ち」

どういう、こと…?

私が首をひねったままでいると、修斗くんは真剣な表情をする。

「改めて言う。朝倉さん、俺、ずっと朝倉さんが好きだ。正直言うと、だから有賀から引き離そうとしたのも事実だった。あのときは見ていられないくらい傷ついていたから声をかけられなかったけど、本当はすぐに俺のものにしたかった。ごめん」

「…そう、だったんだ…」

確かに考えてみれば、私のためにしても行動が優しすぎたのかもしれない。

「でも…たとえそうだとしても、私は否定しないよ。修斗くんの優しさは本物の優しさだったから」

修斗くんが私のことを好きだからこその優しさだって、普段の優しさに変わりはないから。

「ずっと待たせてごめんね。そして、ずっと待っててくれてありがとう。私…修斗くんが好き」

そう言って、私は自分から唇を重ねた。ようやく、二年半前の呪いのようなものがほどけたような気がした。