「莉桜?元気ない?」

「ううん、ちょっと考え事してて」

私が誤魔化し笑いをすると、萌映はぷくっと頰を膨らませた。

「莉桜。この際だから言うけど、あんたはまだモテ期真っ只中だよ」

「…え」

私はぴたっと凍りつく。

「いつまでも過去のことに囚われてちゃ、莉桜が苦しいだけだよ。あんなヤンデレなかなかいないし、他にいい男はこの世にごまんといるよ」

「…うん。分かってる。分かってるけど…」

私は、一体何に迷っているの?




考え込んでいたせいで、ケーキの味も全く分からなかった。

「2400円になります」

「あ、はい…」

お財布を出そうとすると、萌映がさっとお札を出した。

「今日は私の奢り。今度は奢ってね」

「…ありがとう」

私が奢るって言ってたのに、萌映には気まで使わせちゃった。

「え!まさか、久保⁉︎」

萌映が大声をあげる。私は驚いて萌映を見る。たしかにその目線の先には、修斗くんがいた。前よりずっとかっこよくなっているから一瞬分からなかったけど、あの人は修斗くんだ。

そして…、隣には、可愛い女性も連れている。