「莉桜〜!遅いってば!」

「ごめんってば、ちょっとメイクに時間がかかっちゃっただけなんだって」

輝羅くんと別れてから二年半が経った。

私達は大学生になり、それぞれの道へと進んでいた。

「私はそれを三十分も前に終わらせてきたんだけどねえ」

萌映の目が怖い…!

「うわ〜、ごめんごめん!ケーキ奢るから!」

「やった〜」

絶対これが目的でしょ。でも私が遅れてきたのが悪いから、仕方なく奢ってあげようと覚悟を決めた。

「さ、行こ行こ」

すたすた歩きはじめる萌映を横目でちらりと見る。

萌映は大学に入ってから更に可愛くなった。奏太さんとは別れてしまったらしいけど既に新しい彼氏がいるみたいで、女らしさが増したような気がする。

それに比べて私は何も変わっていない。

もちろん見た目は多少変わっただろうけど、まだ心はあのときから少しも動いていない。

————輝羅くんにあんな風に別れを告げたこと自体は、後悔はしていない。

けれど、その後に輝羅くんはどうなってしまったんだろう。

それに修斗くんにも、あんなに私のことを助けてくれたのに何もお返しできていない。

結局、私は何もできていないままだった。