「言いがかりはやめてよ。マリアちゃんに鉢合わせしてたまたま私の前に有沙がいただけでしょ」
「違う! 鳴美が有沙の手を引っ張って自分の身代わりにさせたんだよ」
「ははっ。仮にそうだったとしてだからなんなわけ?」
「な、なにって……」
「あんたも有沙も私のおかげで一軍に居られてるってこと忘れてない? 所詮あんたたちは私の金魚のフンなのよ」
「………」
「むしろフンが私のことを守って死ねたんだから光栄でしょ? 有沙だってきっと喜んでる……」
グサッ。
牧田の言葉が言い終わる前に、奇妙な音がした。気づくと牧田の腹にナイフが刺さっている。
「あんた、なにして……うっ」
牧田の声を遮るように保泉はもう一度ナイフを突き立てていた。膝から崩れ落ちるように牧田が倒れる。それを保泉は冷めた視線で見下ろしていた。
「な、なにしてんだよ、保泉……」
「なにって鳴美を殺した。私、こいつのことずっと嫌いだった。多分みんなそう。こんなことならもっと早くやればよかった」
そう言って保泉はナイフを自分の喉元に押し当てている。
「や、やめろ。落ち着け!」
「私は落ち着いてるよ。自分がしたこともわかってる。だからちゃんと償う。有沙、今そっちに行くからね」
止めようとしたけど間に合わずに保泉はそのまま自分の喉を刺した。バタンッと倒れる頃にはもう動かなくなっていた。



