マリアちゃんと鬼ごっこ



「え、みんなこんなところでなにしてんの?」 

「マリアから逃げてきたところだよ」

「じゃあ、あいつ東棟にいるの?」

「清水のスマホを持ってるなら位置情報がわかるだろ」

「それが清水のスマホ速攻電池切れになったの。マジで使えなくない? 私のスマホどこって感じなんですけど!」

牧田がいつもの調子で怒っている。凛太郎が本当のことを言おうとしていたけど、俺は今は黙っておいたほうがいいという視線を送った。

凛太郎が拾ったことを知れば、あれこれといちゃもんをつけてくるに決まってる。

「早く明日になんないかな。朝が来ればうちらの勝ちってことでしょ? 今のところ六人生き残ってるしけっこう頑張ってるほうじゃない?」

牧田は手すりに寄りかかって手鏡を見ていた。こんな時でも化粧崩れが気になるようだ。

「……本当は有沙だって生きてるはずだった」 

「は? あんたまだそんなこと言ってんの?」

「……っ。鳴美が有沙のこと盾にしなければ有沙は殺されずに済んだのに!」

保泉が泣きながら大声を出していた。長沼がどういう状況でやられたのかはわからない。でも保泉が嘘をつくメリットはないから、牧田が長沼のことを盾にしたというのは本当なんだろう。