……ペタ、ペタ。
なにやら体育館から音がする。スマホの画面に表示されている赤色の点滅がいつの間にか体育館の中にあった。
マ、マリアだ……!
俺は急いで倉庫の扉に手をかける。しかし閉まる寸前でバッ!と手が伸びてきた。
「みーつけた♪︎」
ゾクッ。その隙間からマリアと目が合った。小さな手は無理やり扉をこじ開けようとしてくる。子供のくせに力が強い。
「……くっ」
「そんな暗いところにいないでこっちにおいでよ。痛くしないから開けてよ、ねえ?」
倉庫の中は体育の授業で使う用具で溢れている。扉を開けられたら逃げ場がない。きっと一瞬でやられる。
「きゃは、あともう少し♡」
隙間がどんどん広がっていく。手が痺れてきた。もう無理だ。指が扉から離れた瞬間……「きゃああっ!!」という悲鳴が体育館に鳴り渡る。
それは俺たちじゃなくマリアの声だった。
「永人! 大丈夫か?」
扉の向こう側にいたのは……凛太郎だった。
「え、な、なんで?」
「説明はあとだ! 早く逃げるぞ!」
俺と三花は凛太郎に誘導されながら倉庫を出る。その側ではマリアが両目を押さえて痛がっていた。
「それ嫌い。使うきみも嫌いだから殺すね」
それとは、凛太郎の冷却スプレーだ。やっぱりマリアはこのスプレーが苦手みたいだ。マリアは怒ったように凛太郎に近づいてきた。
「誰が殺されるか!」
次に凛太郎は小型ナイフを取り出してマリアの肩に突き刺した。マリアが怯んだのを見て、俺たちは体育館を飛び出した。



