それからどのくらい時間が過ぎただろう。目が覚めると先生の姿はなかった。
慌てて立ち上がろうとしたけど、体が動かない。後ろにまとめられた両腕がロープのようはもので柱に括られていた。
「う……っ」と、力任せにほどこうとすればするほどロープは皮膚に食い込んでしまう。
操作卓があるってことは、ここは危機管理室?
おそらくあの後先生の手によってここに運ばれたんだろうと思う。
この操作卓を使って、あの防災無線を流したのは先生だ。それで鬼ごっこが行われることも事前に知っていた。
まさか先生が黒幕だったなんて……信じられない。
でもこうして俺に睡眠薬を飲ませて拘束したということは、先生がマリアのママで間違いない。
もしかしたら今頃またみんなと合流して優しい先生を演じてるかもしれない。俺はなんとかして拘束を解こうともがいていた。
なにか切るものがあれば……あ!
俺はズボンのポケットに目を向ける。そういえばショッピングモールでバタフライナイフを調達したはず。俺は体を左右に捻りながらナイフを取り出すことに成功した。
そして少しずつ位置をずらして縛られた右手でナイフを持った。
ナイフを縦にしてゆっくりと上下させること十五分。かなり苦戦したけど、なんとかロープを切ることができた。
早く急がないと……! 俺は階段を駆け上がって区役所の外に飛び出した。



