マリアちゃんと鬼ごっこ



暗闇に目が慣れてくると、明かりがなくても視界がクリアになってきた。
 
洋館の中は何年も放置されていたとは思えないほど、(ほこり)っぽさもない。

マリアは地下室に閉じ込められていたと言われているけど、それだってただの噂に過ぎない。

本当は普段からマリアやママと呼ばれる人の出入りがあったんじゃないだろうか。そのくらいなにもかもが綺麗すぎる。


「永人、どこから調べるの?」 

「一部屋ずつ確認してる時間はないから、まずは地下室を探そう」

と、言ってもそれも簡単ではなさそうだ。

「それなら二組に別れたほうがいいかもしれないね。ゆっくりしてたらマリアちゃんが来るかもしれないし……」

三花の提案を聞いていた凛太郎が、「じゃあ、俺と先生は一階の東側から回るよ!」と言ってくれた。

三花とふたりきりになり、俺たちは南側から探すことになった。

歩けば歩くほど建物の広さを実感する。この家に住んでいたとされる〝ママ〟は一体何者だったんだろう。これは相当な財力がなければ建てられない。

「地下室って隠し扉の奥にあったりするのかな?」

「わかんないけどそれだと困るよな。隠し扉を見つけるまでに何時間かかるか……って、どうした?」

隣にいる三花の手が震えていることに気づいた。

「……へへ、なんか今さら色んなことが怖くなってきちゃった」

すでに目の前で何人もクラスメイトが人形にされてきた。矢野の死すら、ゆっくり悲しんでいられない。

「大丈夫。俺がいるから」

そう言って、三花の手を強く握った。