「きみは自分の体の中身って見たことある? 全部取り出してなにが詰まってるか興味はない?」
「……っ」
マリアは手術するように、ノコギリの刃を上下させた。皮膚に触れないギリギリの角度で、制服だけが縦に切られていた。
「……くそ、永斗にまで手を出すんじゃねえーよ!」
凛太郎の足音が聞こえたかと思えば、その勢いのままマリアの顔にスプレーを吹きかけた。
「きゃああっ、な、なにこれ! 目が開かない!」
今まで冷静でいたマリアが急にジタバタとし始めた。
「今のうちに逃げよう!」
凛太郎に言われて、俺は急いで立ち上がる。矢野が死んだことにショックを受けている三花はまだ放心状態でいた。
三花の手を引いて、病室の扉を開ける。廊下に出る寸前に、倒れている矢野のことを見た。
〝戦うっていうより友達を守るために私たちも武器を持つべきよ〟
矢野は身を呈して凛太郎のことを守ってくれた。
その強さと勇気を俺は絶対に忘れない。
「ありがとう、矢野」
精一杯のお礼を告げて、病室から離れた。



