マリアちゃんと鬼ごっこ



矢野まで、殺された。

沸々と絶望を通り越して、怒りが込み上げてくる。

なんで、なんで、なんで……!

「……っ、」

気づくと俺はマリアに襲いかかっていた。

倒れたマリアの体に股がり、矢野が殺されたハサミを突き立てる。

「こんなのはもううんざりだ! 俺がお前を殺してやる……っ」

刃先を喉元に当てると、皮膚が裂けて白い綿が出てきた。

「殺したいなら、どうぞ?」

その余裕な対応に、ますます感情を逆撫でされていた。

こいつが死ねば鬼ごっこは終わる。

そしたら誰も人形にされることはない。

頭ではわかってる。わかってるのに、どうしてもハサミを奥まで刺すことができない。

「あは♪︎ きみも震えちゃってる。どうして殺すことが怖いの?」

「どうして? それが普通だろ」

「普通ってなに? じゃあ、きみは自分のことを普通だって思ってるの?」

「……どういう意味だ?」

「ふふ、教えてあげない。だってママにね、本当のことは最後まで言うなって言われてるんだ」

マリアはそう言って、俺の腹を思いきり蹴ってきた。次に倒されたのは俺のほうで、マリアがノコギリを持って仁王立ちしている。