マリアちゃんと鬼ごっこ



「なんか悪かったな」

しばらくすると、心の落ち着きとともに涙も止まった。人前で泣いたのは初めてだった。

「ううん。その代わり私が泣きたくなった時は永人が胸を貸してよね」

「ああ、もちろん」

その後ふたりでロビーに向かうと、凛太郎と矢野が難しい顔をしていた。

「どうした?」

「あのね、スマホの電池が切れちゃったの」

見せてくれた矢野のスマホの画面が真っ暗になっていた。考えてみれば昨日からずっとアプリを開きっぱなしにしてたし、そろそろ電池切れになっても不思議なことじゃない。

改めてそれぞれのスマホを確認すると、三花は15パーセント、俺は40パーセントが残っていた。

「コンセントは探せばあるんだけど、さすがに充電器は持ち歩いてないし」

「……そうだよな」

スマホが充電できる場所、か。

思い当たるとすれば、ショッピングモールにある携帯ショップしかない。たしかあそこなら無料で充電できるスペースがあったはずだ。

「ねえ、マリアちゃん動いてるね」

画面に表示されてる赤色の点滅を三花が見ていた。

マリアが生きてるということは、瀧川が食い止められなかったということだ。まさかと思って安否を確認してみたけど、瀧川たちの顔に×マークは付いてなかった。

マリアに敵わないと思って逃げたのか。それとも相討ちになり逃げ延びたのかはわからない。

クラスメイトの人数は現在十七人。死んだ人数は十一人になっていた。

マリアに殺されたわけではない清水と児玉の顔にもしっかりと×マークが表示されている。

誰が生きていて、誰が死んだのか。たとえマリアに人形にされたわけじゃなくても把握されていることが不思議だ。

もしかして……どこかで監視でもされてるのか?

俺は天井に取り付けられている防犯カメラに目を向ける。

まだこの鬼ごっこについては謎だらけだ。防災無線を使った人物のことだって手掛かりが掴めていない。