目映い光の中で見えたのは、二年B組の教室だった。騒がしくて、まとまりのないクラスメイトのことを俺は遠巻きに見つめている。
仲良くなれそうな人はいない。
仲良くしたいと思うような人も見つからない。
そんな時、『ねえ、ひとりなら私と喋ろうよ』と、三花が声をかけてくれた。それから凛太郎が加わって、俺の学校生活は豊かになった。
ほとんど喋らないクラスメイトのほうが多かったけど、あの教室は俺の生活の一部だった。
なのに、もう戻れない。あの二十八人で集まることは、二度とないんだ――。
ゆっくりと目を開けると、俺もベッドに寝かされていた。額がひんやりとしてると思ったら、冷たいタオルが置かれている。
「永人、よかった。目を覚ましたんだね……!」
ホッとしたように顔を覗き込んできたのは三花だった。
「……俺……」
「急に倒れたんだよ。昨日寝てなかったし、無茶もしたから疲れが出たんだと思う」
仮眠を取ったおかげなのか呼吸がしやすくなっていて、体の重みも軽減されていた。
「凛太郎と矢野は?」
「今はロビーで外の様子を見張ってくれてるよ」
「……そっか」
ふと視線をずらすと、隣のベッドに児玉がいた。煤だらけだった顔は綺麗になっていたけど、俺と違って児玉はもう目を覚まさない。
夢だったらよかったのに、これは現実だ。
そして悪夢のような鬼ごっこはまだ続いている。



