マリアちゃんと鬼ごっこ



「……みんな、学校ではあんまり話したこと……ゲホッ、なかったのに、こんなふうに助けてくれて
本当にありがとう……」

児玉の頬に一筋の涙が伝う。

「嶋くんも、これ。壊しちゃったかもしれないけど……」

児玉はそう言ってポケットからスマホを取り出した。

「俺、自分に自信なくて……いつも色んなこと、諦めてたけど、もっとみんなと仲良くなりたかった……な。清水も、きっとみんなと仲良く……」

児玉の声が徐々に小さくなっていく。

「児玉!」

「児玉くん!」

いくら呼びかけても、返事はもう返ってこなかった。

「もう嫌っ、こんなの堪えられない……」

矢野が児玉から目を背ける。

またクラスメイトがひとり死んだ。 

また助けられなかった。

まだ息をしていたかもしれない清水を置いて助けた命だったのに……救ってあげられなかった。

俺がしたことは、なんだったんだろう。

あと何回、こんな気持ちを繰り返さなくちゃいけないんだろうか。  

意識がぼんやりとしてくる。

熱風を吸い込んだ肺が今さら傷んできて、うまく呼吸が吸えない。

「……永人っ!」

三花に名前を呼ばれた瞬間に、俺の視界は真っ白になった。
 
目の前で仲間が死んでいくのを見ないといけないのなら、自分が死んだほうがよっぽど楽だ。