マリアちゃんと鬼ごっこ



身を寄せる場所として選んだのは病院だった。ひとまず入院患者が使う病室に入って、凛太郎の背中から児玉を下ろした。

「大丈夫か……?」

ベッドに寝かせることはできたものの、児玉は苦しそうにしている。

「みんなありがとう……ゲホッゲホッ」

「喋らなくていいから」

さっきは無我夢中で気づかなかったけど、児玉の顔や腕は赤黒く変色していた。制服も脱がせようとしたけど、生地が皮膚に張り付いていてできなかった。 

「こういう時って冷やしたほうがいいのかな? それとも化膿しないように消毒する?」

矢野が心配そうにあたふたとしている。

誰も火傷についての知識がないし、スマホで調べることもできない。  

「とりあえずお水持ってきたよ!」

三花が自動販売機で買ったミネラルウォーターを持ってきてくれた。

きっと児玉は相当喉が乾いている。こんなに熱が体にこもってるんだから当然だ。でも俺は水を飲ませようとしてる三花の手を止めた。

「あげちゃダメだ」

「な、なんで?」

「喉や肺が焼けてる時に水を飲ませると、もっと苦しくなるって聞いたことがある」

「……そんな」 

手当てもできない。水もあげられない。俺たちは弱っていく児玉に対して、あまりに無力だった。