マリアちゃんと鬼ごっこ



「……っ、おまえ、ゲホッ、ゲホッ……」

今すぐに殴ってやりたいのに、喉が焼けてうまく言い返すこともできない。

「喧嘩ならいつでもしてやるよ。あいつとの勝負が終わったらな」

そう言って瀧川の視線が俺から外れた。その先には商店街の入口があり、こちらへ歩き進めてくるマリアの姿が見えた。

こんな状況でマリアに会えば、せっかく救えた児玉のことも危険にさらすことになる。 

「永人!」

「村瀬くん!」

と、その時。三花と凛太郎と矢野が駆け寄ってきた。

「なん、で……」 

「永人を置いて逃げるわけねーじゃん! 俺が児玉のことを運ぶから!」

凛太郎はそう言って、意識が朦朧としてる児玉のことを背負ってくれた。

「永人は私たちの肩を掴んで。今さら男とか女とかナシだからね。恥ずかしくてもしっかり肩に手を回してもらうから!」 

三花は涙目になりながら、俺のことを立たせてくれた。

「村瀬くん、無茶するね。でも、なんか私も負けてられないって思ったよ」 

矢野にも肩を借りて、俺たちはマリアから逃げるように歩き出した。