「お前らみたいに使えないやつはさっさと人形にされちまえよ」
瀧川の言葉に、有野と高橋がわざとらしく吹き出していた。児玉と清水は気まずそうに下を向いている。
「茶化しにきただけならどっか行けよ」
「は? 二軍の分際で俺に逆らうのか?」
「今はそんなの関係ない!」
俺は瀧川のことを睨みつけた。たしかにB組の中で瀧川は一番の権力者だ。
でも今はもっと怖い存在を知っている。
マリアに比べたら瀧川なんて大したことはない。
「み、みんな落ち着いて。大人数でここに集まってるのは危険すぎる。とりあえず一旦外に出ようよ」
冷静に提案してくれたのは三花だった。俺たちは狭い古本屋から出ることにしたけど、児玉と清水だけは動かずにまた本棚の裏に隠れてしまった。
「俺たちはここにいるよ。嶋くんに貸してもらったスマホがあるし、マリアちゃんが来たら自分たちでなんとかするから」
できればみんなで一緒にいたほうがいいと思うけど、それが最善の選択ではないことは先ほどの件で身に染みている。
この鬼ごっこに正しい逃げ方なんてない。動かずに隠れているのもひとつの方法だ。
「わかった。気を付けろよ」
ふたりを除く七人で外に出ると、なぜか瀧川が不敵な笑みを浮かべて古本屋を見ていた。



