「児玉くんと清水くんはずっとここにいたの?」
矢野がふたりに問いかける。
「うん。そうだよ」
「俺たちスマホがないんだ。慌ててたからスマホが入ってるカバンごと置いてきちゃって……」
ああ、だからさっき店に入ってきたのが俺たちだって気づかなかったんだ。
学校に戻って取ってくることもできるけど、マリアの位置情報もわからないから、闇雲に動くこともできなかったんだろう。
「じゃあ、これ……」と俺が言いかけると、「ったく、しかたねーな。これ使えよ!」と先に凛太郎が自分のスマホをふたりに渡していた。
「い、いいのか?」
「こっちには頼れる永人もいるし。つか、マリアちゃんの位置情報をいちいち見ながら行動するとか俺の性格に合ってないんだよ! だから遠慮しないで使ってくれよ」
凛太郎が清水の肩を叩く。普段おちゃらけてる凛太郎だけど、実は情に厚いやつだということを俺は知っている。
さっき目の前で五人を犠牲にしてしまったからこそ、もう誰も死んでほしくないという凛太郎の強い気持ちが伝わってきた。
「お前のことは俺が守るよ」
「なに気持ち悪いこと言ってんだ」
緊迫していた空気が少しだけ和んだところで、再び誰かが古本屋に入ってきた。



