走っていた足がもつれてくる頃、上がってきたのは息だけではなく胃液だった。

「……うっ……」

俺は電信柱に手をついて嗚咽(おえつ)を繰り返す。体の中にあるものをすべて吐き出してしまいたいのになにも出てこない。

「永人、大丈夫……?」

三花がすぐに背中を擦ってくれて、凛太郎と矢野も同時に足を止めた。

さっきまで九人いたのに、今はこの四人しかいない。

視界に白いものがある気がして確認すると、ズボンに誰かの綿が付いていた。それを見てさらに吐き気が襲ってくる。

「お、俺のせいだ。俺が陸橋を選んだから……」

あの時、選択肢はいくつかあった。でも消防署が近いからと陸橋に向かってしまったことで、五人の運命を狂わせてしまった。

「ううん。元はといえば、私が町を越えられるんじゃないかって提案したことがいけなかった……」

悔やんでも悔やみきれない罪悪感。三花が涙ぐんでいると、その隣で矢野がぺたんとしゃがみ込んだ。

「ま、麻里香と静香も人形にされちゃうなんて……っ」

数分前まで一緒にいた友達がいない。矢野は顔を覆って泣いていた。