マリアちゃんと鬼ごっこ



「あ、荒武、どうしたんだよ!」

根本が陸橋に入ろうとしたので、俺は「やめろ!」と手を引っ張った。地面から奇妙な振動が靴を通して伝わってくる。

それが鳴り止むと、荒武はそのまま倒れた。

……ゴンッ。

後頭部を強く打ち付ける音だけが俺たちの元に届く。荒武はすでに動かなくなっていて、いくら名前を呼んでも反応することはなかった。

「……もしかして、電気じゃないかな」

矢野が震えた声でぽつりと言った。

荒武の身になにが起きたのかはわからないけど、それは確実に陸橋を越えようとした時に発生した。

伝わってきた振動と、一瞬だけ見えた目映い光。

矢野の言うとおり、地面に電気が走っていたと考えると筋が通る。

つまりこの町以外の場所に行こうとすると、感電するということになる。だから失格。すなわちそれは死を意味する。

「……くそ、なんでだよっ!」

根本の悔しい叫びが痛いくらいに響いた。呆然と立ち尽くす俺たちを嘲笑うかのようにまた空から雨が降り始めていた。