「さんざん寝てたくせに、まだ寝足りないのかよ?」
「だって寝心地悪かったし。ってかソファで寝てたはずなのに、いつの間にか床で寝てたっぽいんだけど」
「寝返りして勝手に落ちたんだろ」
「マジで。そういう時は教えろよ!」
「知るか」
俺は呆れたようにため息をついた。
「それで、町からはどうやって出る? バスや電車は動いてなかったけど、その代わり車も走ってないから国道を歩いていくのもありかもしれないよね」
矢野は町から脱出するためのルートを頭で組み立ててくれていた。
「国道からだったら、陸橋を越えたほうが早い。その先には消防署もあったはずだし、なるべく短時間で人に会える道筋で行ったほうがいいと思う」
「うん。わかった」
目的地が決まったことで、歩く足取りに迷いは消えていた。
住宅地を過ぎて開けた道に出ると、前方に人影が見えた。条件反射でビクッとしたけど、歩いてきたのは荒武と根本と菅野だった。
「お、村瀬たちじゃん!」
約十二時間ぶりの再会に、少しだけ緊張が和らぐ。
三人はサッカー部に所属していて、運動神経は抜群だ。学校外で遊ぶことはないけど、気兼ねなく話せる友達でもある。
町を脱出しようとしていることを話すと三人は「俺たちも行く!」と声を揃えた。人数が九人になり、ますます心強くなった。



