再び一階に戻ったあと、各階に人が残っていないか確認したけど誰もいなかった。
ここなら外部と連絡が取れる可能性があるんじゃないかと期待していたのに、回線が切られているのか警察にも電話はできなかった。
「もうすっかり暗くなっちゃったね」
「……そう、だな」
早く時間が過ぎればいいと願う反面、夜は怖い。
マリアの位置情報がつねにわかると言っても、相手だって俺たちを捕まえるために動いている。
さっきは学校の周辺にいたけど、今は駅前へと移動している。
片時もスマホから目を離せない緊張感で、体力と精神力が秒単位で削れていた。
「なあ、今日はここに泊まるんだろ? 区役所って布団とかないのかな」
そんな中で、凛太郎だけがいつもどおりだった。
「外の様子がわかるように今日は一階のソファで夜を明かしたほうがいい」
「一階って逆に危なくね?」
「でも仮に俺たちが五階にいてマリアが下から捕まえに来たらどうなる? 上は逃げ場のない屋上だ。だったら一階にいて、すぐに外に出られる距離にいたほうがいいだろ」
「ああ、たしかに!」
凛太郎は納得したように手を叩いていた。
出入口に近いエントランスホールには売店があり、凛太郎は三花に立て替えてもらっておにぎりを食べ始めた。
「永人はなにもいらないの?」
背もたれに寄りかかることもしないでソファに座っている俺の隣に三花が腰を下ろした。
「まだいい。お前は食べておけよ。いつマリアが近づいてくるかわからないから」
「……うん」
クラスメイトの青色の点滅も今は動いている人のほうが少ない。土地勘があるとはいえ暗闇で逃げるのは危険だと、みんな建物の中にいるのかもしれない。



