マリアちゃんと鬼ごっこ



「村瀬くんのことは回収しておいたわ」

「そう」

「優秀なAIがひとり見つかって本当によかったわ。前回も前々回も全滅だったもの」

マリアとの鬼ごっこで逃げきれる人は少ない。

母が言ったとおり、このテストは今回だけではなく何回も繰り返されている。

そのたびにマリアが鬼役をやっている。いや、国からの命令で私がやらせていると言ったほうがいい。

「いつまでこんなこと続けなきゃいけないの?」

「私も政府から指示を受けてるだけだから期限までは知らないわ」

母がこんな技術を開発してしまったせいで、私たちはつねに国から監視されている。私もマリアも断ることは許されていない。

「それより今日は優秀なAIが残ったことのお祝いをしましょう! なにが食べたい? 三花の好きなものならなんでもいいわよ!」 

「今日はずいぶんと優しいんだね」

「あなたのことを愛してるもの」

そう言って抱きしめられた。

母は私のことを大切にしてくれている。

ううん、大切にするようになった。

昔は見向きもしてくれなかったけど最近は愛情を与えてくれるようになった。

私がずっと欲しかったものだ。でも私は……。


「マリア。この人を殺して」

「はーい♡」

マリアは躊躇なく、母の体をノコギリで切った。吹き出した血が私の顔にかかる。