三花は児玉の死で泣いていた俺のことを抱きしめてくれた。
離ればなれになって再会できた時、会えて嬉しいと言ってくれた。
さっきだって心が折れそうになった俺を生きなきゃダメだと奮い立たせてくれた。
三花がいたから俺は頑張ってきた。
三花がいてくれたから、俺は逃げ続けることができた。
「全部冗談なんだろ? そうだって言ってくれよ。お前のことならなんでも信じるからさ……」
「永人は甘いね。私たちが同じクラスになったのもこの鬼ごっこのためだよ。そこで人間関係が出来上がったところでテストが開始された。最初からすべてのことが仕組まれてたんだよ」
「じゃあ、俺に言ってくれた言葉も全部計算かよ」
「そうかもね」
「俺はお前のこと本気で……うっ」
と、その時。吐き気とともに視界がぼんやりとしてきた。
「ごめんね。アイスピックの先端に毒を塗っておいた。次に目覚めたら永人はすべてのことを忘れてる。もちろん私のことも」
喋りたいのに声が出ない。三花の顔もよく見えない。意識が朦朧としてる中で手を伸ばす。
俺はお前のことが好きだった。
鬼ごっこが終わったら伝えようと思ってた。
なのに、それなのに……。
「永人。私もーー」
三花がなにかを言っていた。
それを聞き届けることなく、俺はそのまま冷たいコンクリートの上に倒れた。



