マリアちゃんと鬼ごっこ



……鬼ごっこが終わった?

喜びもつかの間に、この状況には不釣り合いな握手が届いた。

「永人、おめでとう」

「……み、三花?」

「永人なら生き残れると思ってたよ」

そう言って三花はゆっくりと俺に近づいてきた。長い髪の毛を耳にかけながら俺と視線が合うように膝を折る。

「気づかなかった? 私がマリアのママだよ」

……ドクンッと心臓が大きく飛び跳ねた。

バクバクと動悸が治まらない。

「……な、なに言ってんだよ、三花……」

震える声で聞き返すのが精一杯だった。

「私がマリアのことを作ったの。ちなみに日高先生は私のお母さんだよ。仕事上、結婚してた頃の名字を使ってるみたいだけど」

三花がマリアを作った? 先生とは親子……? 

なにもかもが衝撃的すぎて思考が追いつかない。

「ねえ、⑧番目の説明を覚えてる? マリアから逃げ切った生徒にはいいことがあるってやつ。よかったね。永人は今日から優秀なAIとして扱われるんだよ」

「……は?」

「本当は薄々勘づいてたんじゃない?」

三花はにこりと笑ってアイスピックを俺の手の甲に刺した。

「……っ」 

ビリッとした痛みが走る。顔を歪めつつも傷口を見てゾッとした。出てきたのは血ではなく、やっぱり白い綿だった。