マリアちゃんと鬼ごっこ



「……凛太郎、凛太郎……っ」

スマホの画面から凛太郎の青色の点滅が消えていた。俺は泣き崩れて動くことができなかった。心が張り裂けそうなほど痛くて苦しい。

「な、永人、マリアちゃんが来てるよ」

三花の言うとおり赤い点滅が三階に上がってきていた。でももう鬼ごっこなんてどうでもいい。

「ねえ、永人!」

逃げたって無駄だ。どうせもう……。

パシンッ! すると三花に思いきり頬を叩かれた。

「しっかりしてよ! 今までなんのために逃げてきたの? 生き残るためでしょ? 永人は生きなきゃダメ! ちゃんと自分の足で立って逃げるんだよ!」

三花も泣いていた。

そうだ。俺は生きるために逃げてきた。

涙を制服の袖で拭う。ゆっくりと立ち上がった足はしっかりと前に進んでいた。

最後の逃げ場として選んだのは屋上だった。いや、もうそこしか残されていないと言ったほうが正しい。

出入り禁止になっている屋上のドアは施錠されていた。ガチャガチャとドアノブを回しても開けられない。階段からマリアの足音が近づいてきていた。

「私がやってみる」

三花がショッピングモールで調達したアイスピックを取り出した。その先端を鍵穴に入れて回転できる場所がないか探している。

……ガチャッ。

「よし、開いたよ!」

三花のおかげで屋上に出ることができた。