ほろ苦彼氏の甘い口づけ

「好き放題言わないでよ。時間帯関係なく、(つかさ)はすごく優しいんだから」

「わぁ、ギャップあるぅ〜。キスする時も? 噛みつかれたりしないの?」

「ないよ! 普通に触れるだけのやつしかされてない」

「わー、こりゃ相当大切にされてるな」

「っぽいね。口とほっぺだけなら、きっと優しく愛されたのね」



愛菜に反論する私をよそに、琴実と豊香は勝手に話を進めて勝手に納得している。


もう! みんなして司を野蛮な狼扱いして!


確かに第一印象はちょっぴり近寄りがたい。

けど、怒鳴る姿は1度も見たことがなく、友達や家族、店員さんと話す時も毎回落ち着いた口調。

多少妬いたりすることはあっても、それを露骨に顔に出すタイプではない。



「そうだよ。長い付き合いだけど優しく……って、ちょっと待った、愛されたって何?」

「ん? 愛菜がこれから経験するやつだけど」

「2人きりでイチャイチャするってこと? そんなのしたことないよ」