ほろ苦彼氏の甘い口づけ

「はぁ……最悪」



画面を見るやいなや、大きな溜め息が。
一体誰なのだろうと、自分もベッドから下りて画面を覗く。



「これ、出たほうがいいかな」

「あー……そうだね。出ないほうがかえって面倒そうだし」

「だよな。ごめん、すぐ終わらせる」



謝った司は、『宗星』と表示されている画面をスライドして電話に出た。



「もしもし」

【もしもーし。今大丈夫? あ、もしかしてお取り込み中だった?】

「いや全然。大丈夫」



陽気な声に抑揚のない声で返答。ほんの数分前まで嫉妬していたのもあってか、言葉が刺々しい。



【そう? なら良かった。今どこにいるの? お家? カラオケ? それともホテル?】

「家だよ」

【わぁお。お家デートですかぁ。いいね〜】



ボンッと顔が熱くなる。

そういえば、バレンタインデーに会うことも話してたんだっけ……。
お取り込み中ってそういう意味だったんだ……っ。