ほろ苦彼氏の甘い口づけ

渋々了承したものの、相当嬉しいのか、今までに見たことがないくらい顔が緩んでいる。


ほっぺも耳も真っ赤。もはや照れ笑いというよりデレデレ。

甘々仮面にも別バージョンがあったんだ……。



「口、開けて」



半開きにして再度重ねると、隙間から舌が入ってきた。小さく漏れる吐息と水音に、体温がぐんぐん上がっていく。



「美羽、もう少し力抜いて」

「う、んっ」



唇をくっつけたまま返事をするも、今の私は酸素を取り込むだけで精一杯。


それもそのはず。
口の中では甘さを持った熱がゆっくり動いていて、外では大きな手が後頭部と背中を擦っている。


穏やかで優しいのに、刺激的で。

まだアルコールが残っていたのかなと思ってしまうほど、頭も体も上手く動いてくれない。


──ブーッ、ブーッ。


背中を擦っていた手が太ももに移ったその時、突然スマホの振動音が鳴り出した。



「……ちょっと、いい?」

「う、うん……」



無視しようとしたのだけど、止む気配がなかったため、一旦中断。

ベッドから下りた司が机の上に置かれたスマホを手に取った。