ほろ苦彼氏の甘い口づけ

その助言をもらったのは、チョコを渡した時。
父親に電話で呼ばれて帰ることになった沢村を見送ろうとしたら……。



『新淵のことだけどさ、もし全然なびかなかったら、お酒の力を借りるといいよ』



ウイスキーボンボンを指さして爽やかな笑顔を浮かべる姿に、ものすごく戸惑ったんだ。



「マジかよ……。将来家を継ぐ医者の卵が、冗談でも軽々しく言っちゃダメだろ……」



驚愕を通り越し、ドン引きしている。

医大生なら、アルコールの危険性は勉強しているはず。
なのに、オススメだよみたいな空気感で言われたら……動揺するのも無理はない。



「サイコパス発言はそれだけ?」

「うん。他はまともな回答だったから」

「良かった。じゃあ次は俺の番な」



まだ若干心がざわついているが、気を取り直して司の気持ちを聞く。



「結論から言うと、俺の気持ちの問題。美羽に嫌な思いをさせたくなかったからなんだ」

「私のためだったの?」

「うん。キスした後、苦い顔してるように見えたから」