ほろ苦彼氏の甘い口づけ

「……何を?」

「…………そんなの、わかってるくせに」



とぼけたふりしても無駄だよ。何年一緒にいると思ってるの?

そう耳元で囁いた後、首に唇を押しつけた。
場所を変えながら何度も口づけする。



「ちょっと、何して……っ」



戸惑いの声が漏れているが、先ほどの仕返し。無視して続行。

吸血鬼になった気分で口紅の跡を付けていく。


しかし……付ければ付けるほど、心が満たされるどころか、虚無感が増すばかり。


やっぱり私、おかしいのかな。

以前迫った時よりも距離は格段に近いのに。
……どうして遠く感じるんだろう。



「やめろって……!」



胸元を擦った直後、両肩を掴まれて突き飛ばすように体を引きはがされた。



「こないだから一体なんなんだよ。結局美羽は何がしたいの」

「ご、ごめん……っ」



険しい表情と冷たい口調で見下ろす姿に恐怖を感じ、慌ててリビングから退出した。

2階へ向かい、司の部屋に閉じこもる。


泣いちゃダメ。泣きたいのは司のほうなんだから。