ほろ苦彼氏の甘い口づけ

この調子なら……おねだりを聞いてもらえるかもしれない。


全体を見て回り、写真を撮った後、広場を出て集合場所へと戻る。



「綺麗だったね。司はどれが気に入った?」

「そうだなぁ、最初に見たアーチかな。美羽は?」

「私もアーチだけど……これもすごく可愛かった!」



信号待ち中にスマホのカメラフォルダを開き、顔の前に画面を見せた。



「うさぎかぁ。可愛いな」

「でしょ? 見つけた時キュンキュンしちゃった」



白く光る二羽のうさぎ。お互い顔を近づけているその姿は、まるでキスしているかのよう。



「……ねぇ、久しぶりに、キスしよ?」



耳元で囁いた途端、画面を凝視する横顔がパッとこっちに向いた。


あくまでもネットの簡易診断。信ぴょう性は低いとはいえ、キスの回数が減っているのは事実。

今後も仲良く過ごしていくためにも、対策は必要。


そこで、物理的に距離を縮めて、相手をドキドキさせることにした。