夕方になり、招待客が次々と来訪されます。ウィルと私は会場の正面に立ち、来賓の方とご挨拶を繰り返し行っています。噂のことで好奇の目で見られつつも、彼が腰に回した手のぬくもりが、その眼差しの温かさが、私に勇気をくれていました。

「そうして並ぶとお似合いね」
「やっと会えたね。アークライト嬢」

 最後に、マーガレット殿下とアレク王子が入場されました。
 華やかすぎるお二人は招待客の注目の的です。しかし、お二人とも流石は王族。その堂々たる佇まい、神々しくもある雰囲気、威厳ある美しさに、どこからか感嘆のため息が漏れていました。
 お二人の元に出向くと、「ウィルをよろしく頼むよ」と王子にお声がけいただきました。レオンお兄様も王子の護衛としてそばにいて、私にニコリと微笑んでくださいます。

 そうしてお二人をご案内し、ひと段落ついた時、ウィルの顔が近づき、私の耳元で囁きました。

「綺麗だ。私の愛しい人」

 私はとても動揺して、俯いてしまいましたが、おそらく耳まで朱色に染めてしまっています。

「あの……、ありがとうございます。ウィルも、素敵です」
「ありがとう」

 ちらっと覗くと、ニコリと笑うウィルと目がばっちり合いました。ちゅっとおでこにキスをされます。と、同時に会場の隅から女性客の悲鳴が聞こえました。あぁ、私への脅迫状、また増えちゃいますかね……。