「嘘ではないぞ。……遠征で会えなくて、どれほど辛かったか。いつの間にか使用人達とも仲良くしているし。幼い頃も美しかったが、今の君はとても美しい。誰かに取られないか心配でたまらない」
「お、王女様の方がお美しいです!」
「私にはローズが一番輝いてみえる」

 ローズの手をとり、キスをした。アイスブルーの澄んだ瞳から、美しい水滴が一粒流れた。

「頼むから他の女のところへ行けと言わないでくれ。君のそばに居させてくれ」
「ウィル……」
「私と結婚してほしい」

 ローズは信じられないという顔をした。何をそんなに誤解していたのか。いや、自分のせいであることは明らかだ。何せ今まで気持ちを伝えてこなかった上、ここ数日は彼女を避けていたのだから。

「結婚は嫌だろうか?」

 ふるふると首を横に振る。可愛い。思わず微笑むと、ローズも泣き笑いになる。

「好きだ」

 この先何度でも伝えよう。傷痕を消し去っても彼女が私を選んでくれるように。
そう心に誓いながら、私は彼女の唇に自分のそれを重ねた。