訳アリ令嬢ですが、憧れの公爵様に溺愛されています!

 翌日、屋敷にマーガレット王女を案内する。超大型来賓なので極秘に転移でお連れした。ローズにもまだ知らせていない。

「ウィリアム様ったら、本当に私の国に来てくださらないつもりなの?」
「申し訳ございません」
「もったいない。貴方ほどの魔力があるのなら、我が国で魔術研究をしたほうがさらに強くなれるわよ。新しい技術もきっと身につく」
「魅力的なご提案なのは存じています。だが、私は我がハレック王国でも権力者だ。そう簡単に国は捨てられない」
「爵位くらい我が国でも差し上げます。貴方が危惧しているのは別のことでしょう?」
「はい。婚約者と離れ離れにはなれない」
「お熱いこと。ご本人に言ってやりなさい」
「ありがとうございます。では失礼します」

 そうして部屋を出ると、床に黄色の花が一輪落ちていた。

「カレンデュラ、素敵ね」

 王女がそういったが、これは彼女がここにいた証拠だ……。どこまで話を聞いていたのか。探したが姿は見えなかった。
そこへ執事が血相を変えて走ってきたのだった。