『ローズ?どうしたの?』
気付けば庭園のローズガーデンに来ていました。ドレスが汚れてしまうのに、立っていられず座り込み、泣いてはいけないと思うのに、涙が止まりません。デイジーが私を心配して、私の顔のそばを飛んでいます。一生懸命涙を拭ってくれるのですが、次から次へと涙が流れます。
「っ。ううっ。……ひっく」
『ローズ……』
すると、突然私とデイジーを光が包み込み、あたり一面真っ白になりました。思わず目を閉じ、光が収まったので目を開けると、そこは今いたローズガーデンとは全く違う景色が広がっていました。
木々が瑞々しく風に揺れ、草原は小さな花の絨毯のようになっています。色とりどりの花が美しく、妖精がたくさん飛んでいて、楽しそうな声が次々と聞こえてきました。溢れんばかりの光が差し込む、明るい森。
「ここは?」
『妖精のお家だよ。土の妖精王様が、ローズを連れておいでって言ってくださったの!』
なんと人間である私が、妖精界に来てしまったようです!以前本で読んだことのある妖精の世界、妖精界。人間には入ることのできない世界だと聞いていたのに。



